先日、デジタルデトックスについて久しぶりに記事を書いた。

外から入ってくる情報を一度遮断して、
自分自身に戻る時間をつくる。

デジタルデトックスをすると
頭の中にあった余計なものが少しずつ剥がれていって、

忘れていたことを思い出したり、
突然アイデアが浮かんできたり、
自分が本当にやりたかったことに気づいたりする。

でも、

なんでそうなるんだろう?

もちろん、

「スマホを見ないから頭がスッキリする」

と言ってしまえばそれまでなのだけど、

今日、脳のことを調べていて
面白いものを知った。

Triple Network Modelというものだ。

▼脳には3つの大きなネットワークがある

脳科学の世界には、

「Triple Network Model」(トリプル・ネットワーク・モデル)

という考え方がある。

スタンフォード大学のVinod Menonという神経科学者が2011年に提唱したモデルで、

人間の認知に関わる代表的な3つの大規模な脳ネットワークの関係に注目したものだ。

その3つが、

Default Mode Network(DMN)
デフォルト・モード・ネットワーク

Salience Network(SN)
サリエンス・ネットワーク

Central Executive Network(CEN)
セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク

というもの。

DMN(デフォルト・モード・ネットワーク)は聞いたことがある人も多いかもしれない。

僕もDMNは知っていた。

何かに集中していない時、
ぼーっとしている時などに活動するネットワークだ。

過去のことを思い出したり、
未来を想像したり、
自分について考えたり、

内側の情報をつなぎ直す。

次が、

SN(サリエンス・ネットワーク)

Salienceとは、

「重要性」

みたいな意味で、

周囲や自分の中で起きていることから
「何に注目するべきか」を見つけるネットワーク。

そして3つ目がCEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク)。

こちらは集中したり、
考えたり、
判断したり、
何かを実行したりする時に関わる。

つまり 「意識的に考えて選ぶ」 ネットワーク。

ものすごく簡単に書くと、

DMN
思い出す、つなげる、想像する。

SN
大事なものが何かに気づく。

CEN
大事だと気づいたことについて、考え、判断し、行動を決める。

みたいな感じだ。

もちろん実際の脳はそんなに単純ではない。

脳の中に3つのスイッチがあって、
カチカチ切り替わっているわけでもない。

でも、この3つのネットワークが相互に関係しながら
僕たちの思考や注意を作っているらしい。

たとえば森を歩いていて、

DMN
「最近なんか仕事しんどいな…昔はもっと自由だったな」

SN
「これ、自分にとって大事なことかも」

CEN
「じゃあ、何を減らす?何を変える?明日からどうする?」

というイメージ。

そして僕はこれを知った時、

「なるほど!」

と思った。

これ、

デジタルデトックスと
めちゃくちゃ関係ありますよね。

▼スマホが僕たちの「重要」を決めている?

朝起きる。

スマホを見る。

LINEが来ている。

「あ、返信しなきゃ。」

Instagramを開く。

誰かが面白そうな場所に行っている。

「ここどこだろう?」

ニュースを見る。

「え、そんなこと起きてるの?」

メールが来る。

YouTubeの通知が来る。

またLINEが来る。

また見る。

僕たちは一日に何度、

外側から

「これ重要ですよ!」

と言われているのだろう。

スマホの問題は

「何時間、どのアプリを見ているか」

だけではないのかもしれない。

僕たちはずっと、

自分の注意を
外側から呼ばれ続けている。

ピコン、
ブルブル、
おすすめ動画、
ニュース速報、
ストーリーズ、
次の投稿。

まるで、
僕たちの「何が重要か」を決める権利が、
少しずつ自分以外のものに渡っているようにも感じる。

もちろんこれは僕の仮説だ。

スマホによってSalience Networkがおかしくなる、
ということが科学的に証明されているわけではない。

でも、

少なくとも僕自身の感覚としては
ものすごく腑に落ちるわけです。

▼何もしない時間に脳は何をしているのか

そこで、

Unplugしてデジタルデトックスする。

スマホの電源をOFFにする。

ネットにつながらない。

誰からも連絡が来ない。

通知も来ない。

ニュースも入ってこない。

おすすめもない。

「次はこれを見てください」

と言ってくるものが
突然なくなる。

最初は落ち着かない。
暇だ。
何をしたらいいのか分からない。

でも、しばらくすると、

頭の中から色々なものが出てくる。

昔のことを思い出したり、
どうでもいいことを考えたり、
忘れていた人のことを思い出したり、

突然、
「あれやってみたいな」

と思ったりする。

僕は今までこの時間を単純に

「頭が整理される時間」

だと思っていた。

でも、もしかすると、

外から「これが重要だ」と言われ続ける状態から離れたことで、

自分の内側にあるものが
再び浮かび上がれるようになってきて

本当に大切なものが見えてくる時間になっているのかもしれない。

▼そして瞑想が面白い

さらに面白いことが分かった。

瞑想だ。

例えば呼吸瞑想をしているとする。

最初は呼吸に集中している。

でもそのうち、

「あ、あの仕事どうしよう」

とか考え始める。

そのまま別の世界に行ってしまう。

しばらくして、

「あ、俺、考え事してた。」

と気づく。

そしてまた呼吸に戻る。

また考える。

また気づく。

また戻る。

この時に起きていることを脳活動から調べた研究では、

心がさまよっている時にDMN、

「あ、考え事をしていた」と気づくことにSN、

そこから注意を戻し、維持する過程にはCENの領域、

が関わっていると報告されている。

つまり、

心がさまよう。

↓

さまよっていたことに気づく。

↓

戻る。

これを瞑想では何度も繰り返している。

これは面白い。

ということは瞑想というのは、

自分の注意がどこに行っているのかに気づいて、
必要なら戻す。

そんな練習なのかもしれない。

▼ここで一つの仮説が浮かんだ

僕は研究者ではない。

なのでここからは、
科学的に証明された話ではなく、
今の僕の仮説として読んで欲しい。

僕はこれを

「Unplugged(アンプラグド)仮説」

と呼んでみることにした。

僕たちは普段、
大量の情報や通知によって、
外側から注意を引っ張られ続けている。

そこで一度、Unplugする。

スマホをOFFにする。

情報を止める。

すると、

外から

「これを見ろ」
「これは重要だ」
「これについて考えろ」

と言われる回数が一気に減る。

そして、
何もしない。

森を歩く。
焚き火を見る。
サウナに入る。
空を見る。
ぼーっとする。

そうすると、

DMNが関係するような
自由な思考が始まる。

過去を思い出す。
未来を想像する。
考えがさまよう。

そして、

その中から何かに気づく。

「そういえば俺、本当はこれが好きだった。」

「なんでこんなことやってるんだろう。」

「これ、やってみたい。」

そして、

それについて意識的に考える。

選択する。

行動する。

僕はデジタルデトックスとは、

一時的にデジタルから離れ、
外から入ってくる刺激を遮断することで、

自分自身と、今ここにつながり直すこと

だと考えている。

今回Triple Network Modelを知って、

その時に僕たちの中で起きていることの一部を、

脳科学の側から少しだけ
覗けたような気がした。

もちろん、

デジタルデトックスで得られるものは
「注意」だけではない。

心が静かになったり、

人との会話が深くなったり、

自然を感じたり、

身体の感覚に気づいたり、

その中の一つとして、

自分の注意がどこに向いているのかに気づき、
それを自分で選び直す。

ということがあるのかもしれない。

▼あなたは、何に意識を向けて生きているだろう

ここで、もう一つの問いが浮かんだ。

「あなたが何に意識を向けるのかを、
誰が決めているのか。」

自分なのか。
通知なのか。
アルゴリズムなのか。
SNSなのか。
AIなのか。
誰かの期待なのか。

目の前に美しい景色がある時、
その景色を見ているのか。

それとも、
スマホの中で起きていることに
意識を向けているのか。

「意識を向けたものが、あなたの人生になっていく。」

とも言えるのではないか。

何に意識を向けるかが変われば、

考えることが変わる。

選ぶものが変わる。

行動が変わる。

そして、

人生の方向も変わっていく。

そう考えると、

何に意識を向けるのかを自分で選ぶことは、
自分の人生を何に使うのかを自分で選ぶこと

なのかもしれない。

だから一度、Unplugする。

外からの「こっちを見て」を止める。

そして、
自分の中から出てくるものに気づく。

自分は、何に意識を向けたいのか。

もしかすると、

Unplugすることで生まれるこの「余白」は、

自分の人生を自分で選ぶために、

僕たちが思っている以上に
大切なのかもしれない。

▼Reconnect Human with Nature

Digital Detox Japanを始めた頃、

僕たちは、

RECONNECT HUMAN WITH NATURE

という言葉を理念として掲げていた。

人と自然を、もう一度つなぐ。

森に行く。
海に行く。
土に触れる。
風を感じる。
火を見る。
空を見る。
自然の中に身を置く。

「Nature」という言葉には、

もう一つの意味がある。

それは、

Human Nature。

人間が本来持っているもの。

デジタルデトックスをすると
自分に戻ってくるような感覚があるのは、

もともと人間に備わっていたものが、
もう一度動き始めるからなのかもしれない。

もちろん、
これもまた、僕の仮説だ。

でも、

Triple Network Modelを知って、
昔から自分の身体で感じていたことと、
今までDigital Detox Japanでやってきたことが、
自分の中で少しつながった。

デジタルから一時的に離れる。

自然とつながる。

今ここにつながる。

人とつながる。

そして、

自分自身とつながる。

引き続き、この仮説を、

頭で考えるだけじゃなく、

実際に自分たちの身体で
確かめてみたいと思っている。

DIGITAL DETOX JAPAN
石田 国大