Twitterを見ていると、電気ケトルが鳴った。キリのいいところまで画面をスワイプしてから、カップ麺にお湯を注ぐ。昼食のお供はYouTubeにしよう。

箸を進めながらもスクリーンに気を取られていて、知らないうちに麺をすべて食べ尽くしていた。自分が食べたはずなのに、なんだか損した気分。

こんな経験、ありませんか?
恥ずかしながら、過去の私の話なのですが……

スマートフォンやPCといった、スクリーンに集中する時間が多い私たち。このスクリーンに注ぐ時間を、少しだけ自分に使うようにしてみませんか?もしかすると、夢を叶えるきっかけになるかもしれません。

そんなお話を、私の実体験をもとにお伝えしていきます。

「ながら」で生きてない?

冒頭のような生活を長いこと続けていたある日。Twitterのお供のアルフォートを知らぬ間に完食した悲しみの中、ふと気づきます。

Reading, Refreshments, E-Reader, Doughnuts, Donuts

Photo: Pixabay

「あれ、”ながら”で生きてない?」

人生のメインといえば自分であるはずなのに、口に放り込むお菓子の数にも無関心。目に入るのはスクリーンの向こうの情報たち。

なんだか、おかしくない?
自分の時間なのに、そうじゃないみたい。

そうだ、実験をしてみよう

空箱のアルフォートを見つめながらもくもくと湧いたのは、好奇心でした。

「今見ているスクリーンの向こう……。SNSを全部消しちゃったら、私の生活はどうなるんだろう?」

起きてから寝るまで、お風呂やトイレまで、ずっと一緒のスクリーン。中学生くらいまではスクリーンなしで生きていたはずなのに、どうやって過ごしていたかはもう思い出せません。

この時感じた好奇心にしたがって、私は二つの実験を始めました。

名付けて「外界との遮断実験」です。

実験① SNSを断捨離する

まず、SNSを断捨離しました。ホーム画面からアプリケーションを消すだけにはとどまらず、思い切ってアカウントごと削除。

ビジネスで使っていたInstagramとFacebookのみを残し、すべてのSNSを削除しました。

LINEも、アカウントごと消しました。

さすがにLINEのアカウント削除は知人たちを驚かせ、連絡方法を変えてもらうなどの迷惑をかけてしまいましたが……

実験② スクリーンタイムを設定する

SNSの断捨離にとどまらず、スクリーンそのものを触る時間を減らしました。決めたルールは2つ。

  • 22:00〜7:00までスマートフォンはお休みモード
  • 終業後、PCの電源は落とす

この実験を始めたのは2020年のコロナ禍。私は在宅ワークをしていて、いつでも社用PCが自宅にある状態でした。

「これもついでにやっておこう」「メールだけ返しちゃおう」というように、PCを使う時間がどんどん間延びしていたのですが、思い切って勤怠アプリを閉じたらそのままシャットダウンするルールに。

この2つのルールのポイントは、「朝起きてすぐスクリーンを見れない状態にすること」です。

普段は6時に起きるので、スマートフォンは1時間操作ができません。PCも始業近くならなければ立ち上げません。こうして、朝晩ともにスクリーンなしの時間を作る実験がスタートしました。

実験を経ての生活の変化

実験を続けていくと、私の生活は180度変わりました。生活どころか考え方や価値観まで変わった気がします。いえ、変わったというより、自分の心や体の声に気付くことができるようになりました。

デジタルデトックスの方法を試す女性のイメージ写真

Photo: Unsplash

変化① 朝型人間になった

22時半に寝て5時半に起きる、朝型人間になりました。デジタルデトックスが眠りのスイッチになり、規則正しい睡眠サイクルができたようです。

夜になってスクリーンを見る代わりに、バスタイムやストレッチや読書など、リラックスすることに時間を使うことが多くなりました。時間に余裕がある時は日記をつけて、心を整理する時間が取れた効果も大きかったかもしれません。

朝型、夜型の体質は人によって適性があるので一概におすすめとは言えませんが、夜更かしする理由を減らすことにつながりました。

変化② 自分と向き合う時間ができた

朝起きても、すぐにはスクリーンに触れません。5時半から7時まで、1時間半の空き時間があります。私はこの時間を、自分と向き合う時間に充てました。

具体的には、

ストレッチ
瞑想
白湯をゆっくり飲む
モーニングページを書く

など、体にも心にも向き合える時間を心がけました。気が向けば掃除をしたり、軽い散歩に出かけたりも。

朝、自分でコントロールする時間がある。それだけで1日の始まりが清々しく感じました。

変化③ 小さな夢を見つけた

朝の時間で行うモーニングページでは、その日のToDoリストややりたいことを書き出していました。そうして自分の思いを書いていくうちに、わたしは自分がある願いを持っていることに気付きました。

それは、「レトロでかわいい団地で丁寧な暮らしがしたい」ということ。思えば今まで見ていたスクリーンの向こうも、丁寧な暮らしのVlogやInstagramのアカウントたちでした。

デジタルデトックスの時間をとることによって、夢に気付き、行動するきっかけとなったのです。

ライター・エッセイスト、チセサカイのデジタルデトックス体験記の写真

気がつけば夢だったライフスタイルが実現していた Photo: 本人撮影

わたしは夢をどんどん具体的に膨らませ、かわいい古団地に引っ越して、丁寧な暮らしを叶えることができました。

朝は太陽の光で起きて、箒を使ってのお掃除から生活の始まりです。

気軽に始めるデジタルデトックスの方法3選

思いつきで始めたデジタルデトックスの実験は大成功でした。ご紹介したのは少々過激な実験でしたが、デジタルデトックスはもっと気楽に始めることができます。

デジタルデトックスを取り入れるポイントは気楽に始められること、そしてデトックスを楽しむことです。今すぐ気楽に始められる方法を3つ、ご紹介していきます。

① タイマーを使って掃除タイムアタック

10分とか15分とか、気軽な短い時間をタイマーに設定しましょう。もちろんスマートフォンを使ってOKです。他の通知が気にならないように、機内モードにするとベターです。

タイマーのスタートボタンを押したら、デジタルデトックスタイムの始まり。スマートフォンを机に裏返しで置きましょう。

あとはタイマーが鳴るまでひたすら掃除です。

気が向いたら、お掃除後のティータイムも機内モードのまま楽しんでみましょう。

② 電源をオフにして買い物へ

スマートフォンを置いていって出かけるのには、ちょっと抵抗があったりします。もしもの時を考えると、やっぱり手元には置いておきたい……

そんな時に使う機能が機内モード、もしくは電源オフです。持ち歩いている安心感と、デジタルデトックスが両立します。

電源をオフにしたスマートフォンをカバンにしまって、普段のスーパーに出かけてみましょう。季節の移ろいを感じながら夕飯のメニューを考える時間も素敵なものです。

③ 銭湯に行く

「デジタルデトックス=我慢の時間」ではありません。試しに近くの銭湯に行ってみましょう。ロッカーでスマートフォンを預けたら、小一時間のデジタルデトックス・リラックスタイムの始まりです。

お風呂上がりもスマートフォンはポケットに入れて、夜風にあたりながら炭酸を片手にお散歩、というのもなかなか贅沢な時間です。
スクリーンと良いお付き合いを!

私たちを楽しませ、生活を便利にさせてくれるデジタル機器。肌身離さず持っていたくもなりますが、時には離れてみると自分の持つ新たな一面に気付くことができます。

ここまで読んでくださったあなたも、ちょっと3分だけスマートフォンを機内モードにして「やりたいことリスト」をつくってみませんか?

思いがけない夢が見つかるかもしれません。

ライター:チセサカイ

ライター・エッセイストのチセサカイの写真
ライター・エッセイスト。富士山のまち富士宮育ち。家を持たずに旅をして暮らしている。
10年来のツイッタラーでスマートフォンは体の一部だったが、「”ながら”で生きてる」ことに疑問を持ち、SNSを全て断捨離するという極端な実験を経てデジタルデトックスに目覚めた。現在は程よくデジタルとお付き合いをしている。
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