現代で「休息」が持つ意味

こんにちは。デジタルデトックス・ジャパン理事のもりしたです。

当協会は、コロナ禍の2021年に通信講座「デジタルデトックス・アドバイザー養成講座」を開講し、これまでにのべ100名以上の方が修了され、認定アドバイザーとして活動されています。協会のメンバーとして共にプロジェクトに取り組む方も増えており、賑やかに活動しています。

書籍の執筆中のため、今年9月以降のご受講を一時受付停止させていただくとアナウンスをしておりましたが、ここ数ヵ月でメディアに掲載を頂いたり、各地で「デジタルデトックスを活かして何かやりたい」とご相談をいただいたりする機会が急増し、来年1月に開講をすることといたしました。次回の開講については未定です。

ととのった心で考え、動く

いま私たちは資本主義の社会に生きています。そのなかで休息とはどんな意味を持つのでしょうか?

生産という観点からいえば「何も生み出さない時間」「仕方がないから設けられてる時間」だとして長らく理解されてきたわけですが、いま「休息」が持つ意味が変わってきているように感じます。

デジタルデトックスとは、言ってしまえば休息です。しかし、休息だからといって何も生み出さないかというと決してそうではないと思います。新たな発想を生み、自分自身や社会がもっと良い方向に向かうためのエネルギーを蓄える時間として、これからの時代は「休息」が非常に重要になると切に感じています。

多くの人がネットを通じて「声をあげられる」ようになりました。SNSがなかった時代を思えば、確かな影響力を私たち一人ひとりが持っています。そして、同じ考えを持つ人たちが(良い意味でも悪い意味でも)つながりやすくなりました。

そんななかで重要になるのが、「心をどこに向けるか」ということではないでしょうか。すでに過剰な資本主義のスローダウンを訴える声は識者のあいだでも高まっています。世界経済フォーラム(WEF)が開催するダボス会議。2021年のテーマは「グレート・リセット」でした。

コロナ禍を経て、これから確実に社会のありかたは変わっていきます。その変化の波に私たちは加わっています。だからこそ、私たちの心の状態はこれまで以上に大事です。大量の情報に惑わされず、人としての直観や善悪を判断する倫理観が求められています。私たちの判断ひとつで世界はいかようにも動いていく、と僕は信じています。

だからこそ、より良い心の状態で目の前のことを判断していかなければならない。心の状態を整えるためには心身の休息は欠かせません。自分の内受容感覚に耳を研ぎ澄ませることも必要になってくるでしょう。

米国の活動家、シェリー・ティギェルスキー氏にお話を伺ったとき、彼女はマインドフルネス瞑想の大切さをこう説かれました。

「大切なのはセルフケアとして瞑想をするだけじゃなく、変わった自分が外に向けて善きことをしていくことなのです」

休息の真髄はここにあり!と膝を打ったことを覚えています。要は「自分がととのった状態だからこそ、ととのった世界を作ることに貢献できる」という意味でしょうか。

関連記事(クーリエ・ジャポン):バイデン夫妻も賞賛した社会活動家シェリー・ティギェルスキーが伝えたい「セルフケアの本当の目的」

ひとついえることは、テクノロジーはこれからも発展していくということ。であれば、共存のために私たちが生まれながらに持つテクノロジーも育んでいく必要があると思います。

協会での活動を通して、僕もいろいろな試みをしてきました。企業向けの講演、親子向けのデジタルデトックス・キャンプ、観光プログラムの創出などなど。でも、まだ「これだ!」という答えは見つかっていませんし、見つけようとするものでもないと思っています。むしろ、大量に提示されるソリューションから離れ、問いを続けることが、この時代においては大事だと信じています。それが「思考停止しない」ことだからです。この時代に思考停止することほど、恐ろしいことはない。

アドバイザーとしてできること

最初に養成講座を立ち上げたとき、付箋に「お客さんではなく仲間を集める」と書きました。そのスタンスはいまも変わっていません。

この文章を最後まで読み進めてくださった方々と一緒に考え、一緒に失敗しながら、これからの社会でオフラインでもできること、オフラインだからこそできることを提案していきたいと思っています。それが今後のデジタル社会を生きる次世代の人たちの礎になると思うのです。

ちなみにデジタルデトックス・ジャパンは非常に分散的な組織でして、修了後は各々が興味のあるテーマを軸に活動しています。「キャンプチーム」「デジタルデトックス育児チーム」など、興味関心が共通するアドバイザー同士が集まって、いろいろ計画しています。それでも共通しているのは「誰もがデジタルと共存できる社会をつくる」ということです。あくまで協会はプラットフォームのような存在です。

 

──というわけで興味のある方はぜひ、養成講座のページを覗いてみてください。事前のオンライン面談などもやっております。仲間として一緒に学び、実験し、失敗し……いろんな体験を共有できることを心待ちに。

 

DIGITAL DETOX JAPAN 理事

森下彰大