目次
水分補給と一緒で「こまめ」に
こんにちは。デジタルデトックス・ジャパンのもりしたです。
メディアの方々から取材いただくとき、必ずといっていいほどご質問をいただくのが「デジタルデトックスって何時間やればいいの?」ということです。
結論からお話しすると、時間は関係ないと思っています。
もちろん、1週間近くデジタルをおやすみできれば、とても心地よい体験が得られるかもしれません。
実際にメールの返信を1週間お休みするだけで、ストレスレベルが下がるという研究もあります。
ですが、毎日の生活のなかで少しずつでもデジタルデトックスの時間(電子機器と離れる時間)を取り入れることのほうが、ずっと大事だと思っています。
特にリモートワークが始まってから、ずっと「つながっている状態」にある私たちにとっては、5分でも10分でも、情報から離れて、脳を休めることが大事だと感じます。
たとえば、トイレの中。ついつい個室で眺めてしまう……という方も多いかもしれません。その時間をぼーっと過ごすだけでも、脳にとっては大切な休息です。
先日、NHKの番組『人生レシピ』に出演した際、デジタルデトックスについてのVTRを観られていた川野泰周(僧侶・精神科医)さんが、スタジオでこのようなことを仰っていました。
「私は電車に乗るときはできるだけスマホを触らない時間にしています。そのあいだは『脳を休める』時間だと考えています」
とても素敵な習慣だと思いました。
スキマ時間はスキマのままに
かなり前から、「スキマ時間を活用せよ!」ということがビジネス書籍でも(口うるさく)言われていますが、個人的にはこの考えに大反対です。
「スキマはスキマとして残すべき」なんです。
当協会のデジタルデトックス・アドバイザーで断捨離®︎の講師でもある方も、こんなことを教えてくれました。
「お部屋もモノがなく、スキマがあるからこそ掃除がしやすい」
脳もお部屋も同じように考えれば、スキマ、言ってしまえば「ヒマ」が大切なんだと思います。
國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)では、現代においては労働ではなく「余暇が搾取されている」とあり、膝を打ちました。まさに私たちは暇な時間がないゆえに、労働の生産性までもが奪われているという構図が見えてきます。
大掃除も大事だけど、日頃の掃除も欠かせないよねということです。バケーションだけではなく、こまめに休息をとることが欠かせません。そして脳にとっての休息とは、ぼーっとする時間──暇、です。
脳は情報が入ってこないときに溜まった情報を整理しています。常に情報が入って来れば、脳の中は情報で溢れてしまいます。
もちろん、スマホ内の情報よりも自然の景色のほうがはるかに情報量としては多いのですが、ここでお話しているのは電子機器からランダムに届く情報から離れる時間を作ることが大切、ということです。ランダムに新しい刺激がくることがもっとも依存性が高まりやすいためです。
日常生活のなかでこまめに通知に触れていると、脳はいまやっていることとスマホからきた新しい情報の処理に追われ、「皿回し状態」になってしまいます。
そこで、トイレや流し台など、気になるところを“ちょこっと掃除”するように、「なんだかつかれたなぁ」と思ったら、少しのあいだだけでもスマホを持たずに出かける、トイレにスマホを持ち込まない、食事中はスマホを見ずに味わう、など試してみてください。
時間よりも何を控えるかが大事
「ついつい、インスタグラムを見過ぎてしまう」ようであれば、それを控えるだけでも充分です。
このあいだ、久しぶりにインスタグラムを覗きましたが、目に飛び込んでくる情報があまりにカラフルに脚色されていて(アメリカのスーパーのクッキーみたい)、なんだか現実が歪められる感覚がありました。恐ろしく誇張されているものを見ているような。
これも久しぶりに見るからこそ得られる感覚かもしれませんね。
もちろん、誰かとつながったり自分のことを発信するうえでも大事なツールですので、使い方次第なんですが、疲れているときは10分でも時間を減らすことで、ポジティブな気持ちになれる気がします。SNSの利用時間が長くなればなるほど、メンタルヘルスが悪化するという研究は多いです。
スキマ時間によく触ってしまうアプリの代表格として、SNSやニュースアプリなどが挙げられます。最近では非常に感情を刺激するニュースが増えています。
ニュースの弊害については記事末尾に掲載する関連記事を一読ください。
デジタルデトックスの時間を取り入れたいと考えている方は、まずニュースやSNSの時間を意識的に減らしてみるのがおすすめです。
特にSNSをこまめに見ることをやめると、大きな心境の変化があるはずです。
使う時間が長い=スマホ依存?
同様に「何時間以上使っていたらスマホ依存なの?」というご質問もいただきます。これについても時間はあまり関係ないというのが僕の答えです。
2018年のデータでは私たちは平均して1日3時間ほどをスマホ利用に費やすそうですが、これもあくまで平均値であって、あまり意味はありません。
平均より多いからダメとか少ないから良い、ということではありません。
文章を書いたり、動画を作ったり、音楽製作をしたり……デジタルデバイスは自分の創造性をもって使えば、ものすごく可能性のあるツールです。
僕もお仕事柄、PCを使って原稿を書きますが、集中して何かに打ち込む時間(フローな時間)というのは、とてもやりがいが感じられ、1日を終えたときの充実感にもつながります。
もちろん、PC上で何かに集中して作業したいときにはスマホの通知をOFFにするなど、徹底的に「集中の邪魔」を省きます。
ということでして、今日はこのあたりで。ぜひ、スキマはスキマのままに。日常に余白と遊びを。そしてひま〜な時間を!
「1人でスマホがないとソワソワしてしまう」という方はみんなで体験するのがおすすめです。
7月30日にはオンラインでデジタルデトックスとは何かを学び、実際に夜〜明け方までオフラインの時間を体験する「スクリーンフリー・サタデー」を開催します!
まずは体感を深めることから。自分の五感が戻ってくると、ONのときにも「疲れてきたな」というのがわかりやすくなります。こまめにOFFをとることで、ONのときのパフォーマンスも上がるはずです。
お気軽に遊びに来てくださいね。
▼関連記事