QWSでの活動をスタート

こんにちは。デジタルデトックス・ジャパン理事のもりしたです。

2022年12月より、SHIBUYA QWSにて活動を始めました。僕を含む、協会メンバーさまたちと共に、デジタルデトックスの可能性を模索していきます。まずは、ワークショップやモニター事業の開催を通じ、プロダクト創出に取り組んでいきます。

活動拠点となるQWSには、組織の規模や専門とする分野を問わず、大手企業から地方自治体、個人のクリエイターやスタートアップ企業までが集まっています。

多種多様な人たちが、さまざまな領域を横断しながら新たな価値を創造していく──まさに渋谷らしさを体現する空間で、デジタルデトックスを社会に実装するための試みを続けていきます。

プロジェクト──OFFLINE FOR WELL-BEING

「つながりっぱなし」の現代で【オフラインの時間】が持つ意味は何だろう?

「すぐ知りたい」「いつでもつながりたい」──太古の昔から【情報と接続】を渇望してきた私たち。その願いはデジタル技術によって叶えられた。だが常時オンラインの社会は、スマホ依存や脳疲労などの新たな問題ももたらした。

コロナ禍を経て、ニューノーマルを生きる現代人には、そろそろ「新しい休み方」が必要なのではないか。意図的に自らを“オフライン状態”に置くことで、私たちは英気を養えるのではないか。それが個人や社会全体のウェルビーイングにつながるのではないか?

最高のONのための「最高のOFF」を、次世代の当たり前(=インフラ)にしたい。

協会認定アドバイザーたちとのデジタルデトックス・キャンプ

▼何にチャレンジするのか?

意図的にオフラインの環境を区画し、個人やチームでデジタルデトックス(一定期間デジタルデバイスから離れること)を体験してもらうことで、デバイス過多な状態からくる心身ストレスを軽減する。

組織においては、目の前のヒトやコトを共有する体験を創出することで、コミュニケーションの量と質を向上させ、チームの結束をサポートする。 上記のような体験の科学的効果を検証し、パッケージ化して、個人や組織が手軽にオフライン休息をとれるようなサービス・プロダクトを創出する。

講談社のウェブメディア「クーリエ・ジャポン」編集部によるデジタルデトックス体験(岐阜県養老町)

▼なぜチャレンジするのか?

世代間を問わず、デジタルの過度な利用(とそれを仕向ける社会構造)によって起きる問題には、枚挙にいとまがなく、かねてからアカデミックな分野では専門家の警告が続いてきた。

しかし、実社会での対策は後手に回っている。デジタルから離れて休息をとることは思うより難しく、コロナ禍を経て、子どもも大人もスクリーンタイムは増加する一方である。それに付随して、SNS依存や燃え尽き症候群などのメンタルヘルスの問題が顕在化した。

オフラインの時間をとるのは、今後も発達するデジタル・テクノロジーに依存するのではなく、共存していくための営みである。

子ども世代ではオンライン教育、大人世代ではリモートワークが一般的になったいま……、デジタルとの付き合い方についてのリテラシーや休息の実践を、個人の自助努力に委ねるのではなく、インフラ(誰でもアクセス可能なもの)にしていく必要がある。


弊協会の親子向けデジタルデトックス・キャンプは東海テレビでも特集されました。

▼どのようにチャレンジするのか?

デジタル過多な状態によって問題が深刻化している層(例としてリモートワークの導入企業、子ども世代など)を明確にし、その層の人たちに適したオフライン体験を提供する。実証事業ではデジタルデトックスの効果を科学的に検証し、サービスやプロダクトに落とし込んでいく。

並行して日本の有識者とネットワークを組成し、企業や自治体への知識提供を行う。共鳴していただける組織とタイアップして、新しい休み方を社会に啓蒙する。

企業向けの研修の様子

プロジェクト・メンバー

森下彰大
一般社団法人日本デジタルデトックス協会理事。講談社の会員制ウェブメディア「クーリエ・ジャポン」編集者。Voicyパーソナリティ。現代のライフスタイルに即した「新しい休み方」としてデジタルデトックスを提唱し、国内普及を目指す。デジタルデトックスやテクノロジーとの共存に必要な科学的知識・実践法を体系化した国内初の認定資格「デジタルデトックス・アドバイザー養成講座」主宰。

デジタルデトックスに関連する企業・個人向け研修のほか、地方創生を目的とするプログラム開発にも携わる。主な出演メディアにAbema TV、日経ビジネス、東京新聞、TOKYO FMなど。

田辺萌

1997年12月生。新潟県柏崎市出身。理学療法士として神奈川県回復期リハビリ病院に勤務。在学中は脳神経科学の分野を専攻し、脳への電気刺激から生じる身体変容について研究を行う。自身のスマホ依存や、コロナ禍でライフスタイルが変化したことををきっかけに、デジタルデバイスが心身(特に脳)に与える影響について興味をもつ。2022年デジタルデトックス・アドバイザー®︎認定。

細目圭佑

渋谷ブレンド(株)代表取締役。慶應義塾大学理工学部卒。株式会社リクルートに在籍しながら、渋谷の各種プロジェクトや行政からの戦略的エリアマネジメントの要請を踏まえ、渋谷ブレンド株式会社を創設。ESG/WEB3.0/ヘルスケア領域の官民連携や大手企業様とのアライアンス型共同事業開発を得意とする。また、グループ会社の渋谷ブレンドグリーンエナジー株式会社の取締役CSO(最高戦略責任者)を兼務し、日本初のカーボンクレジット取引所を生み出す。

▼メンター
福島大我
ADDReC CEO。大手デベロッパーにて、戸建住宅や商業施設を含む住宅・医療・福祉分野における設計、不動産開発事業のコンサルティング、及びマーケティングを担当。同時に、東京エリアにおける賃貸住宅の販売戦略立案、ブランディング、新規商品のプロトタイプ開発等を手掛ける。その後、広告業界にて空間プロデューサーを務め、セールスプロモーション領域でのブランドデザインとプロデュースを経験する。2016年、ADDReC株式会社を設立。建築や不動産等のリアルな空間領域からの思想・技術に基づく「生活者」のためのデザインファームとして、行政、鉄道、住宅、観光、広告宣伝事業等の業界をまたぎながら、これまでにない新しい仕組みのデザインを目的に活動している。

冨田 円
ADDReC コンセプトアーキテクト。欧州での5年間のインテリアデザイン業務で培ったのは審美眼だけではなくユーザビリティというモデュール単位を空間演出から街づくりまでを一貫したコンセプトで貫くこと。物語を空間で表現する事が得意とする。
帰国後はライフスタイルデザインを軸にコンセプト体験型のホテルを中心とした街づくりの開発企画業務に携わる。2015年より生活に一番近いアートアンドクラフトとして発酵茶ブランディングから離耕農地などの遊休地活用を地方都市街づくりとして地域を巻き込みつつ運用中

プロジェクト・メンバーを募集中です!

答えではなく「問い」が時代を変えてきた

QWSは、“Question With Sensibility(問いの感性) ”の頭文字をとって名づけられたそうです。物事の本質を問い、その問いを深化させ、磨き上げていく。このコンセプトに強く惹かれ、QWSを拠点に活動することに決めました。

考えてみれば、世界の当たり前を揺るがし、変革を呼んだのは「問い」です。

「なぜ写真ができるまでにこんなに時間がかかるの?」という問いから「ポロライド・カメラ」は生まれました。

「どうして誰もが直感的に使えるデバイスはないのか?」という問いから「マッキントッシュ」は生まれました。

問いは好奇心から──そして、違和感や怒りからも。

「なぜ黒人は白人と違うバスに乗らなければならないのか」

「なぜ地球環境を害する営利活動が許されるのか」

いまでこそ市民権を得つつあるダイバーシティやサステナビリティの議論も、既存の常識に一石を投じる問いから、その「うねり」は生まれました。

当時としては異端とされることを問うた人たち、そして、その問いに賛同した人たち。彼らの築いた礎の上で、私たちは今日を生きているといっても過言ではありません。

ただ与えられた課題を解決する策(ソリューション)を考えるだけでは、新たな価値は生まれません。過去の当たり前の延長線上には、やはり同じ当たり前しか立ち現れないからです。

くり返しになりますが、空気のように当たり前だとみなしている常識を疑い、チャレンジを始めたほんの少数の人たちが世界を変えてきました。

脱デジタルへと「揺り戻し」は必ずやってくる

QWSを見渡すと、右には研究者、左にはテック系スタートアップ、その横には地方自治体や教育機関……と、それぞれの方がそれぞれの問いを持ちながら、ときに協力しあって、活動を進めています。きっと、あと10年もすれば彼らが熱く語っているアイデアが当たり前になる……そんな、次世代の泡がボコボコと音を立てているラボに居合わせている感覚がして、来るたびにとてもわくわくします。

デジタルデトックスも、IT技術と人間の最適なバランスを探る、終わりのない問いに思えます。日本ではDXが叫ばれ久しいですが、デジタル化が進む欧米諸国をみると、つながらない権利への訴えがあったり、SNSの公害性をめぐる議論が絶えません。デジタルを駆使したリモートワークの弊害も指摘されるところです。スウェーデンでも「紙とPDFでは読書の理解度が変わるのではないか」と専門家がデジタルへの加速に「待った」をかけています。

デジタルもテクノロジーのひとつであり、間違いなく私たちに欠かせないものです。しかし、テクノロジーは発展すればするほど私たちは生産的に、何より、幸せになるのか(なったのだろうか)。

テクノロジーの発展は人類に余暇や自由を与えてくれるものなのか(100年前、「これだけ技術が発展すれば労働時間は格段に減る」とある経済学者は言ったわけですが…)。

デジタルデトックスをすることで、現代社会を客観的にみられるようになると、いまの社会のいびつさにも気がつかされます。その違和感を覚えることが、デジタルデトックスをする大切な目的なのかもしれません。そこに、これからのウェルビーイングのヒントは隠れています。

……と長々と書いてしまいましたが、言いたいことはシンプルです。必ず、ゆり戻しは来る。

確かに、DXやAIの分野には多額の投資が生まれ、優秀なプレーヤーたちも集まっています。でも必ず、密集しすぎたサイドから空白の逆サイドにボールが飛んで来る時がやってきます。メンタルヘルス系のスタートアップがこの数年で一気に増えたことからもその潮流は窺えます。

同じ問題意識を抱えている方や関心のある方はぜひ、QWSで一緒に悩みながらも、一緒に実験をしていきませんか?

ピンときた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※このたび、QWSをご紹介くださり、プロジェクト・チームとしての参画をご支援くださったADDReCの福島さん、富田さんに改めてお礼申し上げます。