DIGITAL DETOX JAPANでリコネクターをしている森下です。

今日は、昨年ロシアに行ったときに考えたことをまとめています。デジタルデトックスを直接的に扱っているわけではありませんが、SNSが世界をどう変えていくのかについて、漠然とした考えをコラムにしてみました。

インターネットは世界中の同世代を繋ぐか

タイトルにもあるカルチャーショック。自分の国とは異なる習慣や考え方に驚くこと。私も1年間ほどアメリカに留学していた経験がありますが、確かにカルチャーショックの連続でした。

最近ではインターネット検索やSNSで海外の情報はすぐに手に入るようになりました。ブロガーやYoutuberは世界を旅してまわり、情報を積極的に発信しています。海外で何が起こっているかは、自分の興味さえあればすぐに調べられます。また、今何が流行っているか。これもSNSによってすぐに分かるようになりました。

そして、これは世界中で起こっていることでもあります。特に、ミレニアル世代と呼ばれる人たちを中心に。

※ミレニアル世代とは2000年代に成人になる世代の総称。生まれたときからインターネットなどのIT技術が周りにあった「デジタルネイティブ」も、このミレニアル世代に含まれる。

彼ら(ミレニアルス)はモノよりも「コト(経験)」を、収入やキャリアよりは「やりがい」を求める傾向にあるといわれている。そして、何より「他者から共感が得られるか」ということに対して非常に敏感な人が多いのが特徴。

SNS間を「移住」するミレニアル世代

こうしたミレニアル世代のニーズに強く訴えかけたのがFacebookをはじめとするSNSです。しかし、「親がFacebookを始めたので、Instagramに移行する」というミレニアルスが一定数いることを示唆するデータもあるようです。

親が使っているアプリを自分が使うことは「ダサい」と感じているのか、親に自分の生活を干渉されるのを避けたいからか…。

自分たちの「安住の地」を求め新しいSNSへと移住するミレニアル世代。年齢層が下がるにつれ、今度は「Instagramはもうおじさんおばさんがやるもの」と烙印を押されてしまうのかもしれません。世代によって使っているアプリがここまで違うのも興味深いです。

先日、デジタルデトックスジャパンのメンバーで珍しくデバイス使用可能な「ON会」をやりました。(ふつうのBBQですが。)

小学生の子どもがお母さんのスマホを借りて、やっていたのはTikTok。私はアプリすらインストールしていません。「こうやって配信するんだ!」、「え、配信時間はこれだけ?」と知らないことだらけで、少し年齢を感じてしまいました。自分もまだミレニアル世代なのに…。

私の周りでは、Instagramをメインに情報発信している友達がほとんどです。

そして海外の多くの国でも「Instagramやってる?」は決まり文句でした。昨年訪れた香港、ロシア、モンゴルでも僕と同じ世代が使っているアプリはだいたい同じだったのです。

ロシアのお父さん

ロシアを訪れた際、50歳ぐらいのお父さんと僕より少し年下の娘さんと観光地を廻る機会がありました。食事中、色々な話をしました。

「ソビエトという社会主義体制が終わり、人々はどう変わったか。」という話になりました。

そこで、お父さんはこう答えました。「社会主義に慣れていた人たちにとっては大きな変化があったよ。だからロシアでは世代によって考え方が大きく違うのさ。とはいえ、最近のロシア人の若者は「スマホの世界」にいるから、一体どうなっているかはよく分からないんだけどね。」

最近の若者は…

「最近の若者は…」という言葉の起源は5,000年前のエジプトにまで遡るといわれています。(壁画に「最近の若者はなっとらん。わしらが若いころは…」という一節が見つかったのだとか。)

ジェネレーションギャップはどこの国でも、いつの時代でもあるものです。戦争や金融危機などの社会問題をはじめ、多くの要素が世代間による「ギャップ」を作り出します。

しかし、SNSによって「最近の若者はなっとらん!」ではなく「最近の若者は…いったいどこで何をしてるんだろう?」になりつつあるのではないでしょうか?

若者批判すらできない時代が来ているのかもしれません。若者が一体何を考え、何を大切に生きているかが分からなくなりつつあるのです。

SNSをひとつのコミュニティあるいは国として考えた場合、異なるSNSを使用している人たちが異なる考え方や価値観を育んでいくのは当然のことに思えます。

統合か分断か

色々な状況を照らし合わせて考えていくと

・世界中、同じ世代の人はほぼ同じアプリ、または同じ趣向のアプリを使っている。

・世代間によってその信条は変わり、オンライン上のプラットフォームでは国を超えてその価値観が共有される。

こうした可能性があるのではないかと思ったのです。これは同じ価値観を共有する人にとっては「統合」であり、同じ場所にいる人たちからすれば「分断」が起こっているともいえます。

Webの世界において、驚くべきスピードで共有されるのは単なる情報ではなく「価値観」なのではないでしょうか。

この価値観が常にアップデートされ、世界中の同世代で分かち合う。そして、そのためのプラットフォームは日々生まれている。

もともとあったジェネレーションギャップというものを、さらに加速させるのがSNSなのではないかと感じたのです。「ギャップが大きな溝となり、本当に双方が歩み寄れなくなるまでにその溝が広がっていくのかもしれない」、そう思うこともあります。

だからといって「デバイスを使うのはやめよう」とかそういうことを言ってるわけではありません。ただ単に海外に行って同じ世代と話すと「考えていることは似てるんだな」と思う機会が多いのです。場所が違ってもこんなにも考え方や流行っているものが同じなのは、やはりインターネットの力だと思います。

住んでいる国や文化でなく、同じ価値観を共有できる同世代の人たちだけがコミュニティを形成する。

その「コミュニティ」がオンラインかオフラインどちらになるかは分かりません。しかし、そんな時代はすぐそこまで来ているのかもしれません。そんなことを昨年のロシア滞在で感じました。

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