禅の真意に触れる

2022年に全四回開催された今回のデジタルデトックス・プログラム。そのうちの一回を協会メンバーが取材させていただきました。

さて、京都は妙心寺で体験できる「てらっくすプラン」とは一体何なのか──。

テーマは“プチ”デジタルデトックス体験。スマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスと少し距離を置くことでこころと身体を休め、現実世界でのコミュニケーションや、自然とのつながりにフォーカスする取り組みです。

お寺のホテル花園会館では四季折々の自然を楽しめる閑静な環境にあり、禅の落ち着きと快適さを味わえます。

日中は大本山妙心寺をめいっぱい堪能して、夜はゆったりホテルで過ごす。

秋冷が爽やかに感じられる好季節、心休まるひとときを。(プレスリリースより)

世界でも「ZEN」として注目される禅の教え。まさにその発信地でもある京都で、デバイスの通知から解放されながら坐禅を学べるという、なんとも贅沢な体験ができるのです。

【スケジュール】<1日目>

13:30 チェックイン
14:30 ロビー集合・概要説明
15:00 坐禅/拝観【山内寺院】(和尚引率)
16:00 帰館
17:30 夕食【花ごころ】
19:00 解定茶礼 ※かいちんざれい
(和尚さんとフリートーク)
自由時間
22:30 就寝

<2日目>
6:00 起床、自由時間
早朝散歩、坐禅も可能(和尚引率)
7:30 朝食【花ごころ】

~10:00 チェックアウト

依存症チェックから

今後通年でも開催が検討されているてらっくすプラン。舞台は花園会館(京都府京都市右京区)。

到着後、まずは依存度チェック。日頃のデジタルとの付き合い方を振り返ります。

デジタルデバイスはお部屋にある専用の箱へ。電源を切ってしばし封印します。

その後、プレゼントいただいた作務衣に着替え、集合のフロアへ。ここでネームプレートを手渡され、この二日間の自分のニックネームを決めます。

二日間お世話になる和尚様からご挨拶。和尚様もニックネームで呼びかけるとのこと!この日の和尚様、ニックネームは「たいやき」さんでした(笑)

坐禅を体験!

和尚さんについて、一行は境内へ。この日は雨でしたが、静謐な空間がより一層引き立ち、雨音と歩く音だけが聞こえます。

歴史あるお堂に上がらせていただき、座禅へ。基本的な姿勢や目線の置き方、呼吸の方法について直々にアドバイスをもらえます。そして、30分ほど座禅の実践へ。

ただ座り、呼吸する。ただそれだけの所作も、意識をするだけで大きなエネルギーの動きがあることに気が付きます。

毎日修行を続けられている僧侶の方々のようには(当然ながら)できませんが、それでも凛とした空間で背筋を伸ばして座るだけで、心の在り方が大きく変わるのを感じます。まさに心は身体のありようを大きく反映するのだと。

お寺のホテル 花園会館、京都・大本山妙心寺での デジタルデトックス宿泊プラン

その後は部屋に戻り、お待ちかねの夕食。創作精進料理【色彩御膳】の名の通り、季節の素材を活かした色彩豊かな料理の数々に舌鼓……。

和尚さんとのフリートークも

夕食後は、解定茶礼(かいちんざれい)。いまでいうお夜食のようなもので、修行中の僧侶さんを労うために、まれながら夕食後にお茶や菓子がふるまわれることがあるのだとか。

ここで、臨済宗の和尚様がたと一緒にテーブルを囲み、仏教についての質問をしたり、修行のときの思い出話を聞きます。ふだん聞くことのできない貴重なお話が聞けました。

朝の座禅体験

翌朝、境内にあるお堂でふたたび座禅体験。この日は縁側に座らせていただき、30分ほど庭園を眺めながら、ただ時間がゆったりと過ぎゆくのを感じました。

お寺のホテル 花園会館、京都・大本山妙心寺での デジタルデトックス宿泊プラン

1日数分座るだけでもいいんです。和尚さんはそう教えてくれました。なんだか、頭が軽くなった気がします。

解散後は、境内をゆるりと散歩。有名な雲龍図(うんりゅうず)も拝観できました。座禅後にお寺でゆっくり過ごすのも、いつもと感じ方が変わり新鮮です。

帰宅後の仕事が…

座禅の効果を早くも実感したのは、帰宅後のこと。長らく先延ばしにしていたこと仕事に、デスクに着くやいなや、すぐにとりかかることができたのです。

そこから数時間、ほかのことに気を取られることなく、もくもくと作業を進み、久々に深度のある集中力を維持できた気がします。いつも仕事中はシングルタスクに努めている僕も、座禅で明らかに生産性が増したことには、正直驚きました。

通年開催が実現したら、ぜひまた訪れたい空間です。