友達関係を築けるのは150人ぐらいまで?

人間の脳の大きさを考えると、「親しく安定した関係を維持できるのは150人ぐらいまで」。

そういった意見を唱えるのが、イギリスの人類学者のロビン・ダンバーです。

彼は類人猿の脳の大きさとその群れの数の関連性を調べ、「ダンバー数(Dunbar’s number)」と呼ばれる上限値を算出しました。

社会的な交流を継続的に行える人の数。「どんな名前で、どこで出会って、何をしているか」を答えられる知り合いの数といっても良いかもしれません。

ダンバー数は、実際に100〜250人ほどのレンジであるといわれていますが、SNSが普及した現代ではこの数をどう捉えるか、さまざまな意見がありそうです。

そのなかでも親密な関係を築ける人数は…

ダンバー数とあわせて、よく紹介されるのが下記に紹介する「*親密度グループ」です。

第0層:親友(3〜5人)

どんなことでも打ち明けられるような仲。ソウルメイトとも呼べる存在の人もこの中にいるでしょう。

第1層:友達(12〜15人)

月に1回以上連絡をとる友達。

第2層:知り合い(45〜50人)

個人的な意見ですが、日本では「年賀状を送る人」がこのグループに該当するかもしれません。

第3層:人間関係を築ける数の上限(150人)*ダンバー数に拠る

実際に、自身の交友関係に当てはめて考えてみると面白いです。そして、SNSではこのダンバー数をはるかに上回る数の友達がいる方がほとんどではないでしょうか?

サービスは終了しましたが、SNSサービス「Path」などをはじめ、オンライン上での友達の数に上限を設定するものもあります。私たちが一生において、親密な関係を築けるのはごく限られた数の人たちだけなのかもしれません。

ちなみにこの階層が上がっていくにつれ、「人数は増えるが、親密度は下がる」といわれています。

*参照:Are social networks ruining our real friendships?

親しい友達はオフライン?オンライン?

ダンバー数というのは、あくまで理論のひとつです。そのため、この数を鵜呑みにする必要はありません。しかし、自分の人生に大きな影響を与える人との関係について考え直すうえでは、面白いキーワードだと思います。

私は仕事やプライベートで迷ったとき、嬉しいことがあったときに必ず連絡をする友人がいます。しかし、海外に住んでいるため、年に1回会えれば良いほうです。そのため、いつもはオンラインでその親友とやりとりをしています。

そのほか、オンラインサロンを経営する方や、Youtuberなどオンライン上でコミュニティを形成するケースも珍しくありません。

人間関係はオフラインだけでなく、オンラインにもある時代。もちろん、双方にメリットがあります。インターネットのおかげで場所によって人間関係が縛られるのではなく、同じ考えや趣向を持つ者同士で繋がれるようになったことは確かに人生を豊かにしている、と私は考えます。タイトルの問いに答えるとするならば、オフラインの繋がりとオンラインの繋がりは「どちらも大事」なのです。

ここで気をつけるべきなのが、オフラインの人間関係を大切にするべき時に、オンラインの人間関係を優先してしまうことではないでしょうか。

家族みんなでリビングルームにいるのに、それぞれがSNSで「ここにいない人」とずっと連絡を取ってしまう。

友達と食事をしているのに、机の上に置いたスマホの通知に目がいってしまう。

こうした自覚がある方は、ぜひ「オンラインの人間関係」と「オフラインの人間関係」のバランスを意識してみてはいかがでしょうか?

一生に関われる人の数は限られているからこそ、目の前にいる人との結びつきを大切にしたいなと、ダンバー数の話を聞いて改めて感じました。

連休も間もなく終わろうとしていますが、家族や友人、恋人など大事な人とのオフラインの時間を大切に過ごしてみましょう。