目次
外出自粛によって増えるリモートワーク
この記事を書いている2020年4月17日現在。すでに日本政府は、緊急事態宣言の対象区域を全国に拡大することを明らかにしました。
まだまだ収束の糸口が見えないコロナショック。すでに多くの企業がリモートワークを導入し、できるだけオフィスに出勤をせずに業務を続けています。
リモートワーク(テレワーク・在宅勤務)を可能にするのは、紛れもなくPCやスマホをはじめとするIT機器の存在です。
デジタルデバイスに依存したワークスタイルに
しかしながら、デジタルデバイスに頼ったコミュニケーションやその他の業務が増えすぎると、心身に与える負荷も大きくなってしまいます。
Zoomなどでのビデオ会議を頻繁に行っては、その合間にグループチャットに送られるメッセージを確認。それに加え、「仕事以外でも、ついついスマホを触りすぎてしまう」という方は増えていると考えられます。
ネット通信サービスのNTTコミュニケーションズは、今年4月6日~10日の5日間での日中の通信量は、2月と比較して最大で40%増えたと発表しました。
それだけ、私たちがデジタルデバイスと離れられない時間が増えています。
在宅勤務に欠かせない仕事道具。そして、外出自粛が続く中での数少ない娯楽。
日本においても、デジタルデバイスとの付き合い方をうまく見出せず、なんとも言えない疲労感を覚える方が増えてきているのではないでしょうか。
デバイス利用のオン・オフがつきにくい今の状況で、徐々にリモートワーク疲れを訴える方も増えてきています。
社員のストレスを溜めない。そんな働き方が求められる今
そのような中で、まず対策すべきは、働く方々にのしかかる心身の疲労です。
私たちデジタルデトックスジャパンでは、「デジタルデバイスの功罪を理解し、より高い生産性と幸福度を保ちながらテクノロジーと共存する」ことの大切さを講演やイベントでお伝えしています。
スマホやPCを仕事やプライベートで使い続けるのは良くないと感じている方はとても多いことでしょう。ニュースでも、外出自粛中のスマホ依存を取り上げるケースも増えてきました。
ただ、自分では分かっていても、周囲からデジタル漬けの状態を強制されてしまってはデジタルデバイスとの適切な距離を保つことはできません。
今こそ、企業内でデジタルウェールビーイング*を推進することが大切だと、私たちは考えています
*デジタルウェールビーイング…デジタルデバイスのメリットを享受しつつも、心身ともに健康で安心できる状態(ウェールビーイング)であること。
リモートワークハラスメント(リモハラ・テレハラ)とは
リモハラ・テレハラとは、在宅勤務中のPCやスマホでの業務を監視、または過度に要求する言動を指します。
リモハラの中には、いわゆるセクハラやテレハラに該当する行為も含まれます。例えば、下記のような行為です。
- 服装や化粧について言及される
- オンライン会議や飲み会などを過度に要求される
- 業務時間以外の生活について必要以上に聞かれる
その中でも、デジタルデトックスジャパンとして懸念しているのが下記のようなリモハラ・テレハラです。
- リモートワークの過度な監視(ビデオ会議のカメラを常にONにしておくように求めることなど)
- デジタルデバイスの過度な利用が心身に与える影響を理解していない
マネージメント層にある人材が、スマホやPCでの業務やコミュニケーションを常に要求し、それが働き手に与える心身への悪影響を理解していないのは、リモハラと同義といえます。
リモハラ・テレハラになっていませんか?7つのチェックリスト
一般的にリモートワークは、「通勤などの時間がなくなるため、生産性は上がる」と考えられがちです。しかし、実際は対面よりもコミュニケーションが取りづらく、思ったように業務が進まないことがほとんどです。(私自身、常日頃からリモートで作業をすることが多いので、慣れるまでは大きなストレスを感じたのも事実です。)
とはいえ、不足しがちなコミュニケーションを補うために、過度な回数でビデオ会議やチャットのやりとりを要求してしまうのも考えものです。
こうしたリモハラやテレハラとも言える言動が企業内に蔓延し、働く人にストレスを加えてしまうのは避けるべきです。
今回は、デジタルデバイスの過度な利用を促してしまう「リモハラ・テレハラ」対策として、下記のようなチェックリストを作成してみました。
リモトーワーク下での健康的な働き方を目指す上で、参考にしてみてください。
リモハラ・テレハラ防止チェックシートと対策法
①業務でスマホやパソコンを使用する時間を定めているか
勤務時間以外の業務連絡を強要していないか。また、そういった対応を取らざるを得ない雰囲気を作り出していないか。経営者をはじめ管理職にある方はまずこの点に注意する必要があります。
これは在宅勤務に限らず、ビジネスパーソンにとって常に保証されるべき権利です。
実際に、フランスでは2017年に「労働者のつながらない権利」を認める法律が整備されました。これは、業務時間以外の連絡を拒否する権利として話題になりました。ドイツにおいても、フォルクスワーゲン社が本格的なシステムを導入。夜から朝にかけては業務端末に連絡がいかないように制限をしています。
これらは、デジタルウェールビーイングの取組みとして大変素晴らしいものだと感じます。
「どうせ1日家の中にいるのだから」という感覚で、いつでも仕事の連絡を取ってしまうのは、生産性の点でもマイナス効果です。
ONとOFFの時間を明確にし、「何時以降は連絡をしない」などのルール作りを進めましょう。
②過度なマルチタスクを要求していないか
スマホやパソコンに共通するのは、「マルチタスクを可能にする」という点です。デジタルデバイスであれば、複数の機能を同時に並行して行うことができるというものです。
しかし、私たち人間は基本的に複数の作業を同時に行うことはできません。(取引先と電話をしながら、同時にチャットで指示を部下に送り、エクセルで売上予想を作成…なんてことはまず不可能です。)
ある意味では私たちの脳はマルチタスクではなく、スイッチタスクに近いとも言えます。
ただ、複数の業務を次々と切り替えて行うのは生産性が下がることがすでに分かっています。
例として、報告書を書きながら、その間に入ってくるメールや電話に対応するような状態が続くと、集中力が下がってしまうばかりか、脳にも疲労が溜まってしまいます。
離れた相手が自分のメッセージを確認しているかどうか、気になるところではありますが、相手が特定のタスクに集中しているのであれば、頻繁に連絡を要求するのは効果的ではないと考えられます。
「今日の午前中はこの作業を行っています。チャットはその後確認します。急ぎの場合に限り電話してください。」
このような意思表示も大切ですし、周囲もそれをサポートしてあげる必要があるでしょう。
③SNSなどプライベートアカウントでの連絡を強制していないか
FacebookやLINEなど、プライベートでも仕事でも使えるSNSの場合、その手軽さもあり、プライベートアカウントで連絡を取ったり、またそれを要求してしまいがちですが、これにも注意が必要です。
コンプライアンスという観点でもリスクがありますし、仕事とプライベートの区別をアプリによってもはっきりさせることで、「休息モード」を確保しなければなりません。
④スマホとパソコンを並行利用するような状態が続いていないか
先ほどのマルチタスクとも関連しますが、こちらの行為は「デジタルマルチタスキング」と呼ばれ、より脳に負荷がかかってしまいます。
どちらを見ていても、常に新しい情報が入ってくるため、脳はオーバーワーク状態に陥りやすいのがデジタルマルチタスキングの特徴です。
このような状態が続くと、「脳疲労」が蓄積してしまう恐れも。
また、集中力を持続させる上でも、スマホとパソコンが目の前で並んでいる状態というのは好ましくありません。
北海道大学が行った研究では、スマホを目に見える場所において認知作業を行うと、生産性が下がるということが示唆されています。
もちろん、致し方がない部分もありますが、常にデジタルマルチタスキングをしてしまっている場合は見直したいところです。
⑤定期的な休憩時間を設けているか
リモートワークを行っていると、同じ姿勢でモニターを注視する時間が増えてしまいます。
そのため、いつもよりこまめに休憩時間を確保し、リラックスする時間を作ることが大切です。
休憩時間中には、できるだけデジタルデバイスから離れ、ストレッチなど身体を動かす時間を作りましょう。
心を落ち着けるマインドフルネス瞑想やボディスキャンなども効果的です。
理想は、自然の中での休憩です。しかし、外出による感染リスクも懸念すべきですので、室内に観葉植物を置くなど、「自然を感じられる環境」に身を置くことを推奨します。(自然の中にいるだけで、ストレスホルモンであるコルチゾール値が下がることもいくつかの研究で示唆されています。)
⑥リモートワークが監視になっていないか
常にビデオ会議ツールのビデオや音声をONにしておくように要求するのも非常にナンセンスです。
また、頻繁に作業進捗を報告しなければいけないといったルールも、ストレス源になってしまう可能性があります。
必要なのは、明確なタスクの設定(今日やること)と、それが難しい場合、誰に相談するかといったセーフティネット作りです。
無理やりつながっている状態を作り出すと、目の前のタスクに対する注意力も削がれてしまいます。
⑦デジタルデバイスの過度な使用が心身に与える影響を理解しているか
最後のポイントは、特にマネジメントをする側にとっては必須な知識です。
従業員の健康管理、そして、仕事の結果を出すためにも、デジタルデトックスをする時間は適切に設ける必要があります。
近年、多くの企業が目指す「健康経営」は、従業員の健康と仕事の生産性を両立できるものだとして、注目されています。
リモートワークという、多くの方が経験したことのない働き方を進めざるを得ない昨今。自社スタッフの健康管理を企業の責務と捉え、具体的な対策をとることで、仕事のパフォーマンスは上がっていくはずです。
対面でコミュニケーションをとるのが難しい今、身体的な疲労ではなく、心や脳のケアも欠かせません。
健康経営の一環として、デジタルデトックスについての理解や実践を進めていきましょう。
▼健康経営について詳しく知る:
経済産業省:健康経営とは
在宅勤務だからこそ、デジタルデトックスが重要になる理由
デジタルデトックスは、デジタルデバイスの活用を否定するものではありません。
むしろ、健康的にデジタルデバイスを使い自分たちの力を最大限に発揮するために、必要なものです。
改めて、コロナウイルスの感染拡大が増える今、デジタルデトックスがなぜ必要なのでしょうか。
-
デジタルデトックスが生産性を上げる
デジタルデトックスを日常生活に取り入れることで、心身の健康を保ちやすくなります。
身体も心もクリアな状態で仕事に向かうことで、必然的に生産性も高まります。
-
PC・スマホ依存で心身に悪影響が出ることも
反対に、過度なデバイス利用が続いてしまうと、脳疲労やVDT症候群のリスクも高まります。
私たちは何気なく、スマホの通知がくると気になったり、何も通知がなくてもついつい見てしまったりしますが、デジタルデバイス上でサービスを提供する企業はいかに、私たちの注意を引くかに着目し、研究を重ねています。
そのため、私たちが意識的にデジタルデバイスを活用しない限り、自身でコントロールをするのは難しくなってしまいます。
デジタルデトックスとは?
デジタルデトックスジャパンが今できること
リモートワーク中のデジタルデトックスを応援します。
デジタルデトックスジャパンでは、イベント開催の他、デジタルデトックスについての勉強会(セミナー・講演)もご希望に合わせて実施しております。
今はイベント開催ができない時期ですが、企業様のご希望に応じてオンラインでの勉強会などの開催も可能です。
デジタルデトックスについて理解し、自社の健康経営を進めたい。スマホやPCを主体的に活用して、生産性を上げたいという方はぜひお気軽にご相談ください。
スマホ依存やデジタルデトックスに関するご質問をお待ちしております。
その他、スマホやデバイスにまつわるご質問や不安なことなどがあれば、ご相談ください。
全てのお問い合わせにお答えするのは難しいかもしれませんが、特にお悩みの多い問題についてはコラムなどで情報発信をさせていただきます。
お問い合わせはこちらから