Googleの実験。デジタルデトックスをサポートする「箱」をリリース

Envelopeで使用可能なのは、電話とカメラ機能

Googleが2019年11月にリリースした、実験的なアプリ「Envelope」。「封筒」という言葉が示す通り、スマホを専用のケースに入れるというシンプルなツールだ。(Google pixel3のみ対応のアプリをインストールする必要あり。)

「Googleが紙の箱?」それだけでも面白いのだが、コンセプトも興味深い。

近年、問題になっているスマホ依存を防ぐべく、デジタルデトックスをサポートするために作られたものだという。

Envelopeを使用している間に使えるのは、通話機能とカメラ機能。そして時刻を確認する機能の3つのみ。

Googleがリリースしている公式動画から、その様子を見てみよう。

グーグルのエンベロープでスマホ依存対策

画像はGoogleの公式動画(Youtube:Envelope – temporarily transform your phone into a simpler, calmer device)より。

使い方はシンプルで、このような紙製の箱に、スマホを入れるだけ。

使えるのは通話機能と…

そして、現在の時刻を知らせてくれる機能。

使用後には箱を壊して取り出す必要がある。(Googleの公式動画曰く、壊さないと取り出せないのが、このEnvelopeのポイントとのこと。)

その後、Envelopeをどれぐらいの長さ使っていたのか通知がくる。動画では8時間の使用を推奨している。

撮影時はこんな感じ。もちろん、撮影データを確認する際は、箱を壊さなければならないため、1日の終わりに写真の出来栄えを見ることになる。

 

デジタルウェルビーイングが急務となったGoogle。

Googleは「Experiments with Google」(Google公式サイトへの外部リンク)と称して、スマホ依存を防ぐために開発したアプリを紹介している。

待ち受け画面に、バブルが現れ、各アプリの使用時間に応じてバブルが膨らむというものや、スマホを使用していない時間を表示してくれるシンプルなアプリが多い。

自分が使用するアプリ(アドレス帳やタスク、マップ画面)だけ紙に印刷をして、持ち歩く「Paper phone」、なんてものもある。

Googleが進めるデジタルデトックスプロジェクト

Googleをはじめ、シリコンバレーのテック企業には、蔓延するスマホ依存に対する解決策が求められている。実際に、Appleにはスクリーンタイムが、Googleにはデジタルウェルビーイング機能が搭載されており、アプリの使用時間が計測できるようになっている。

とはいえ、これらの計測アプリでは、「どれだけスマホを使用するか」をユーザーに制限することはできない。そのため、今回のプロジェクトでは、実際にスマホの使用制限をかけることで、デジタルデトックスを支援している。

【解説】Envelopeはデジタルデトックスに役立つか

実際に、このEnvelopeはデジタルデトックスに役立つのだろうか。

Envelopeの素晴らしい点と、Envelopeが使えない人のために代替案を考えてみた。

ストレス源になりやすいSNSが使えないのは効果大

まず、第一に「SNSやゲームの使用、インターネットの情報収集ができない」という点は、デジタルデトックスの観点で効果的だと感じた。

総務省の調査*によると、ネット依存の傾向があるユーザーはスマホでのコミュニケーションやオンラインゲームに時間を費やしていることが分かっている。

こうした機能が使えないことで、隙間時間についついSNSをチェックしたり、ゲームをしたりするのは避けられる。

*参照:総務省 平成26年版 情報通信白書

実際に、SNSの過度な使用は、ストレス源になることが示唆されている。

1日に1時間以上インスタグラムを使用するユーザーのうち、60%は「アンハッピーな状態」だと回答*している。

Moment調査_スマホ依存

画像引用:Moment公式サイト

通知に反応して、SNSを受動的に見てしまうユーザーであれば、Envelopeの効果はあるかもしれない。

*スマートフォンアプリMomentが行ったアンケートによる。

みんなでお出かけ..そんなシチュエーションには最適

結論として、Envelopeを使うシーンとして最適なのは、「休日に家族や友人と外出するとき」だろう。

電話でやりとりもできる上、旅先の写真を撮影することもできる。それでも、写真をチェックすることはできない。

外出先から戻った時に、みんなで撮影した写真をチェックする。こんな使い方なら、きっと楽しく使えるだろうなと感じた。

一緒に出かけた人とのコミュニケーションも増えるし、ゲーム感覚でデジタルデトックスができそうだ。

対応機種はPixel3aのみ。考えてみた代替案

とはいえ、Envelopeはまだ実験段階。対応機種もPixel3aに限られる

そのため、多くのスマホユーザーがデジタルデトックスをするには、代替案が必要だ。

Envelopeでデジタルデトックスを行うメリットをまとめてみよう。

  • 通話機能や撮影機能は使用可能(子どもがEnvelopeを使っていても、連絡が取れる)
  • SNSなどの通知がシャットアウトされる
  • 撮影したデータが確認できるのは後。

撮影したデータがすぐに見られないという点は、些細ながら、大きな効果があると思う。

良い写真が撮れると、それをリアルタイムで共有したい衝動にかられるからだ。

特に、SNSに多く見られる投稿機能「ストーリー」は、「自分が今していることを周りに知らせたい」という欲を、巧みに刺激している。

撮影した写真は、最後まで見れない方が良い。

まずは、アプリの使用時間を制限しよう

そうなると、SNS機能をはじめ、アプリの使用時間が制限できる機能が必要だ。

iPhoneであれば、Screentimeを使って、使用時間を制限できる。

*各画像をクリックすると公式HP(外部)にジャンプします。

スクリーンタイムでデジタルデトックス

また、一般で公開されているなかでも、スマホ依存対策として多数のアプリがリリースされている。その一例としてandroidアプリ「使いすぎストップ」などがある。

 

デジタルデトックスアプリ_使いすぎストップ

家族や友人などで、「今日はデジタルデトックスをする」と決めた日に、上記のアプリで共通の制限を設けるのも手かもしれない。

デジタルデトックス時のカメラは…

カメラの機能も、できれば制限してしまうのがベストだ。

しかし、どうしても写真を撮りたい場合は、最高のツールがある。

写ルンですでデジタルデトックス

実際に当協会でも、イベント時にはスマホはお預かりしているため、唯一の撮影ツールとして使えるのが写ルンです

撮影した写真の出来栄えは現像しないと分からないため、ワクワク感も楽しめる。

Screentimeなどでアプリ使用を制限+写ルンです。

この2つで、ゆるデジタルデトックスができるかもしれない。

もちろん、スマホの電源を実際にOFFにして、どこかにしまってしまうのが一番効果的なデジタルデトックスだ。

とはいえ、スマホをオフにしてしまうことに抵抗がある方は、できることからお試しを。