家でも業務メールを読みたくない…

誰もがスマホやPCを持つようになり、どこでも仕事の連絡が取れるようになりました。リモートワークなども可能になり、海外とのビジネスも容易に。「どこにでも自分の仕事を持ち運べる」。しかしその反面で仕事は旅先のベッドにまで着いてくる…。

これはWEB記事制作の仕事をしている私の悩みであり、多くの人が抱えている悩みでもあります。

最近では、LINEやFacebookのメッセンジャーを業務連絡に使うケースも増えており、なかなかオン・オフの区別がつけられないという悩みを抱えている人は多いものです。

仕事を終えてオフィスを出て家に帰っても、仕事の連絡がひっきりなしにくることにうんざりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか?

日本でも終業後の連絡は違法

日本でも終業後に業務連絡をとることは労働基準法で禁止されています。とはいえ、多くの人が終業後や休日に連絡対応をしているのではないでしょうか?

冒頭で紹介したフランスでの「オフラインになる権利」。あくまでこの法律も「勤務時間以外のメール返信を禁止するもの」ではありません。つまり、勤務時間以外にメール対応をすることもその人の評価の対象になりうるのです。もし、周りが業務時間に関係なく業務対応をしているのが分かれば、なかなか「仕事が終わったら連絡は取らない!」という姿勢を貫くのは難しいでしょう。

いつでも連絡が取れれば生産性は上がる?

ここで考えたいのが、いつでもチャットで社員とコンタクトが取れる状態が果たして、生産性や成果に繋がるのかどうかということです。

もちろん、緊急の際にはデバイスを使うメリットはあります。しかし、常にデバイスを使いすぎることによる心身へのデメリットは計り知れません。(デジタルデトックス協会では、デバイス使用による心身への影響についても講習で解説しています。)

スポーツの試合に制限時間があるように、仕事にも制限時間を設けるべきではないでしょうか?日中に仕事をしていても「勤務時間中に仕事が終わらなくても、あとで連絡を取り合って進めればいいや」という考え方は、サッカーでいえば、永遠にロスタイムを追加するようなものです。

もちろん、実践するのは難しいというのは重々承知ですが、デバイスと同じくヒトも充電をして心身の疲れを癒す必要があるのです。皮肉ながら、現代の日本人で、毎朝充電満タンで起床するビジネスパーソンは少ないのではないでしょうか。

不名誉なことに、過労死という言葉は”Karoshi”として英語辞書に載り国際的に使われています。過労によって亡くなった方のほとんどが、業務時間外もメールや電話によって執拗に連絡を迫られていたことが分かっています。

「デジタルデバイスに使われるのではなく、使いこなす」、この姿勢が今問われているような気がします。

デジタルウェルビーイングを取り入れる企業に人材が集まる

デジタルウェルビーイングとは、上記のようなデバイス使用が人に与える心身ストレスを理解し、スマホやPCと健康的に関わる取り組みを指します。

「デジタルウェルビーイングを取り入れる企業に人材が集まる」、これは私の願いでもあります。

私は独立するまでに、2社での勤務を経験していますが、いずれも時間を問わず上司から連絡が飛んでくる環境でした。もちろん、それだけが原因で退職したわけではありませんが、大きなストレスになっていたことは間違いありません。

そして、「なんで夜中まで連絡してくるのに、明日の朝は定時通り出社なんだよ…。」と不満を抱えていたことも事実です。

「定時以降はチャットアプリでの連絡を禁止する」

「個人の端末には仕事関連のアプリは入れない。業務用端末は退社時にオフィスに置いていく」

現代において、企業が社員のデジタルデバイスからくる心身ストレスに考慮するというのは新しい常識になるべきだと考えています。

それぞれの企業が実現可能なレベルで、デジタルウェルビーイングを推奨する。

個人で行うデジタルデトックスに加え、こうした社会的なサポートがあってこそ、より幸福度の高い働き方が目指せるのではないでしょうか。