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プッシュ通知は誰のためのもの?
友だちと会話している時、運転している時、勉強している時、何かに集中して取り組んでいる時、、、
通知は容赦なく、いつだって私たちの注意を妨げます。
果たして、その通知の何%が本当に「通知が来たその瞬間」に知りたかった情報でしょうか?
実は通知というのは、私たちより、サービスの提供側(テックカンパニー)にとってもっと重要なものなのです。
というのは、スマホやアプリのサービス提供側はどれだけ長い時間ユーザーにスマホを操作させるか、というが直接その企業の利益につながるからです。
シンプルな例で言えば、私たちがFacebookを見る時間が長ければ長いほど、そこに表示される広告に触れる回数が増え、私たちが広告をクリックする数が増える=Facebook社の利益が増える、ということになります。
(私は元々、Webに関する仕事をしていましたが、通常のWebサイトであっても、いかにユーザーの滞在時間を増やすか、というのはWebサイトやサービスを設計、運営をする側からすると実に当たり前の数値指標でした。)
もちろん、全ての通知が良くないという訳ではありません。
今回の記事では、何故、注意力が妨げられてしまうのか、また具体的にどのように通知をOFFにすれば良いのかを書いてみたいと思います。
スマホの通知が注意力を妨げる
私たちのドーパミンが操作されている?
ドーパミンという神経伝達物質については、名前を聞いたことがある方がほとんどだと思います。
ドーパミンについて、以下のように分かりやすく説明されていました。
ドーパミン
(神経伝達物質は)私たちの気分や感情、性格、さらには記憶力などにも関係していると考えられています。例えばドーパミンは、「意欲」「運動」「快楽」に関係する神経伝達物質で、「気持ちが良い」「心地良い」と感じると出るといわれています。最近の研究で、ドーパミンは「この先何かいいことがあると感じたときに出るらしい」ということが分かってきました。
ボタンを押すとサルの欲しいものが出てくる実験をしたところ、ボタンを押すと欲しいものが出るとサルが気づいた時点で、サルの脳からドーパミンが出ることが分かったのです。
(公益財団法人 テルモ生命科学振興財団Webサイトより)
このドーパミンは上述のように「快感」や「やる気」に大きな影響力を持っています。また、学習能力すなわち試験に受かる、良い結果を出すなどの成功体験をするとこのドーパミンが分泌され、人間はそれを快感として感じます。結果、もっと上を目指して頑張ろう、というモチベーションにつながります。
しかしこのドーパミン。ギャンブルに人が依存してしまう大きな要因でもあります。
例えばスロットマシンやパチンコなどで何度も遊ぶと「次は当たるかな?」「次はどうだ?」との期待や、たくさんのハズレの中に「小さい当たり」や「大きい当たり」など複雑に仕組まれた当選が含まれており、これが複雑であればあるほど、人間の脳はドーパミンを過剰に分泌してしまいます。これがギャンブルに依存してしまう理由の1つです。
そうです。私たちにとってのスロットマシン。それがスマホです。
スマートフォンから通知が届くたびに、私たちは「何が出るかな?」「次は何が出るかな?」と考えます。
(最初にそれを聞いた時、そう言われれば、確かに私もそのような感覚で通知を見ることに気が付きました。)
そしてテックカンパニー(特に本物の技術者のいる大きな企業)はその脳の仕組み、この心理作用を熟知していて自社のサービスに注意をひかせるために利用しているという事実があります。
(参考:Tristan Harris「How better tech could protect us from distraction」)
これが私たちがスマホの通知を無視するのが難しい=スマホに依存する理由の1つです。
2種類の注意力
また注意力は大まかに分けて2種類あると言われています。
一つは、能動的に、意思を持って注意を払う能力です。
例えば何か文章を書いたり、細かい作業をしたり、この能力によって集中力を持続することが出来ます。
もう一つは、受動的に、何かに反応して注意を払う能力です。
これは元々、言わば人類が茂みに潜む敵を発見するために備わったものです。
スマホの通知はこの2つ目の注意力の仕組みを利用しています。
スマホの通知音を聞いた瞬間に、私たちの本能は危険を避けようとし、スマホを見なくてはいられない衝動に駆られます。
これがスマホの通知を無視するのが難しい2つ目の理由です。
このように、スマホの通知が簡単に無視できない、というのは、私たち人間に本質的に備わっている能力と密接に関わりがあります。
スマホのプッシュ通知をどのように設定するか?
具体的にどの様にプッシュ通知を設定するべきか、考えてみたいと思います。
プッシュ通知設定のルールを考える
私のオススメの方法は、全てのアプリで完全に通知OFFにするのではなく、通知が必要なアプリはバッジだけ表示させる、というものです。(バッジとはアプリアイコンの上に表示される、通知の数を示すものです。)
もちろんアプリによっては完全にOFFにするものや、通知をONにしているものもあります。
参考までに私の通知設定をご紹介いたします。
バッジだけ表示するアプリ
LINE、Messenger、WhatsAppなどのメッセージアプリ
完全に通知OFFのアプリ
Gmail
Instagram、FacebookなどのSNS系アプリ
SmartNews、NewsPicksなどのニュース系アプリ
通知ONのアプリ
Yahoo!天気の雨雲アラーム、
Google Mapsなどの実用系アプリ
また例えばメルカリなど、基本的には完全通知OFFで、出品中や入札中など、利用中のみ通知をONにするようにしているアプリもあります。
InstagramやFacebookなどは見たい時に見れば良いので、通知は完全にOFFです。
GmailなどのEメール関係も、迷惑メールなど全てを既読にはしないため、バッジのところにすごい数の数字が表示されるので完全OFFです。
LINEやMessengerなどはバッジが表示されるようにしておけば、スマホを見た時に誰かから連絡が来ているか分かるのでそれで十分です。(以前に完全OFFも試しましたが、私はそれだと不便を感じました。)
基本的には全て完全通知OFFになっていて、必要だと感じるアプリのみ、必要な通知をONにする、というやり方です。(通知音を出すのか、バッジは表示するのか、など)
私はこの様に通知を個別に設定するようになってから、明らかに集中力が高まり、自分の時間や、その時一緒に過ごしている人との時間に集中できるようになりました。
もちろん上記は私のおすすめの方法なので、真似をする必要はありません。アプリの通知をすべて受け入れるのではなく、皆さんにとって一番良い設定方法は何なのか、まずは考えていただくのが大切だと思います。
アプリをインストールすると必ず通知を許可するかを尋ねられると思います。まずは勇気を持って通知は不要、と切り捨てましょう。通知が必要であれば、後からいつでもONにすることは出来るのです。
具体的な設定方法
それでは簡単に設定方法をご説明いたします。
iPhoneの場合(最新iOSで確認しています。)
設定>通知を開くと各アプリの通知設定を変更することが出来ます。
例えばバッジだけを許可したい場合、以下のように設定を行います。
通知を許可はON
ロック画面、通知センター、バナーは全てOFF
サウンドはOFF
バッジはON
これで、通知は来ないが、アプリアイコンには通知の数を示すバッジが表示されます。
詳しくはこちらをご参照下さい。
iPhone、iPad、iPod touch で通知機能を使う
Androidの場合
設定>アプリと通知>通知>通知を最近送信したアプリ
上記から通知の設定を変更することが可能です。
詳しくはこちらをご参照下さい。
Android で通知を管理する
今日のまとめ
いかがでしたでしょうか。
私も最初は通知にここまで様々な仕掛けが含まれているとは考えてもいませんでした。
全てが最初から考えられていたものではないかもしれませんが、研究をしていくうちにどんどん進化していったのでしょう。
これは通知だけに言えることではありませんが、GoogleやFacebookなどの巨大テックカンパニーは、世界中から天才的な人材を雇用しています。私たちが何気なく見ているスクリーンの裏側には、何百人もの天才エンジニアや彼らの作ったアルゴリズム、AIなどが待ち構えていて、私たちの行動を全て監視し、データ化しています。
彼らは心理学を研究しており、私たちがどういう時にどのような反応をするか、様々なデータから検証、実験を繰り返し、その精度は非常に高いものになっています。
自分たちの身は、自分たちで守らなければ、あっという間に企業の利益のために飲み込まれてしまいます。
また今回は紹介出来ていませんが、通知はADHDに似た症状を引き起こすという研究結果があったり、勉強中に通知が来ると、それを見ようが無視しようが同じ様に注意力が下がってしまうという事実もあります。またFacebookなどのいいね機能も同じくドーパミンを分泌させる作用があることが分かっています。
繰り返しますが、通知の全てが悪いわけではありません。
ただ私たちが通知を利用する側であって、私たちが通知に操作されるべきではないと私は思います。
本日もありがとうございました。